自分の家の玄関を開けようとしたところで
背後から誰かが近づいてきているのがわかったので振り返ると
黒マントの男が立っていた。
「話している暇はありません。
本当ならもうこんなところはやく立ち去らねばならないのに
とりあえず、付いて来てもらいます
腕をつかまれたかと思うと体が宙に浮いた
「な、なんなんだおまえは。いやこないだのやつとは
違うのか。おまえらは、答えてもらうぞ」
間違いなく両親を殺したのはこいつらだ
テレビでやっていたやつもこいつらの
情報操作だろう。許さないだが、
こんな不思議な能力を持ったやつらに勝てるのだろうか・・・・・・
「まずい、つけられている」
それまで横を向いて考え事をしていたが
黒マントの男のほうにむきなおった
「下を見てください」
上空200Mは上を飛んでいる俺たちにとって
地上の人間は豆粒ほどにしかみえないはずだ
だが、俺たちが飛んでいるスピードよりも早くそして
確実にその豆粒は近づいていた
その数は3つ。
まさか、こいつも、下のやつらも
俺を狙っている別の組織なのか!?
まあどちらでも、とにかく真実をおれは知りたい
「おまえの両親はおまえのせいで死んだのだ
かわいそうに、おまえさえいなければ・・・」
目が覚めると体中汗をかいていた
「なんか悪い夢でも見たのか?シャワー入ってこいよ」
いわれるままに風呂場に行き、汗を流した。
この汗とと一緒に悲しみまで流してくれればいいのに
そう思わずにはいられなかった。
居間に戻ると兇がテレビをじっと見ていた
「お前のおやじさん達昨日交通事故で死んだって
ガソリンが引火して体は黒こげになっているみたいだ。
もうじき警察も来る休んでおけ」
昨日?交通事故?わけがわからない。
こうなったら、自分で調べるしかない
家に帰れば何か手がかりがあるはずだ
「悪い、少し調べたいことがあるから家に戻る」
慌てて止めようとする兇を制止して玄関を出た。
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「はい、予定通りです。もちろんすでに召集はかけています。
結城はまだ、陰謀の渦の中心に自分がいることに気づいてはいない
それには最も残酷な形で気づくことになるのである。
「おい、結城!おい」
身体に感じる痺れが
さっきまでの事は現実であり両親が死んだのも夢ではないことを
嫌がおうにも認識させてくれた。
それを、思い出すと自然と涙があふれてきた
「何があったんだよ。お前の家に言ったら
玄関の前でお前が倒れてるから慌ててここに運んだんだ」
目線の先で話をしているのは、隣の家に住んでいる
幼馴染の、火渡兇(きょう)だった。
中学の頃隣に引っ越してきていらい
高校生になった今も仲がいいことに変わりは無い
だから、何も隠す必要はない
「父さんと母さんが殺された。そして、俺も
2階まで追いつめられて・・・
二人の遺体はどこだ!兇」
身体をベットから起こそうとするが動かない
「何をいってるんだあそこにはおまえしかいなかったぞ
おじさん達が死んだなら遺体があるはずだろ
でも、家の中にも誰もいなかったし
おかしなところはなかったぞ」
そんなはずはない
この体のしびれがあれが現実であった何よりの証拠なのだ
こいつが、嘘をつく必要はないし
仮についていたとしても
すぐ隣だばれることはわかっているはず
「とにかく、まともに体動かないみたいだしおとなしくしてろよ。
俺は、ちょっと用事があるから出かけてくる」
兇がなぜ、救急車を呼ばなかったのかは、
この島には、そんなたいそうな病院がないからだ
空気も綺麗だし、特別不便だと思ったことはない
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「もしもし、はい向こうも動き出しました。
はいわかっています。そのためにここにきたんですから」
いつの間にか雨が上がっていた
素手では勝てない
理由はわからないが、こいつは雷を操れるようだ
それなら、晴れるまで逃げ続けるか!?
それは不可能だ外に出たらその瞬間両親と同じ運命にあうだろう
ならば、武器が必要だ
男に背を向けて再び2階に駆け上がった
自分の部屋ではなく向かい側にある親父の部屋に入り
飾ってある日本刀を手に取った
「じいちゃん、すまん。使わせてもらうよ」
今から、人を殺す!
だが、不思議と恐怖、緊張といったものはなかった
すでに背後に来ていた男がすぐそこまで
右手を出していた。
日本刀の剣光が見えた後、男の右手がその場に落ちた
「グウー、ハアハアハアハア無傷で連れて行く予定でしたが
仕方ありませんね」
男の声は彼には、聞こえていなかった
男の首に向かって剣を振り上げる
今まさに頚動脈に剣がそう思った刹那
体に電流が走った
なぜだろうこの場で倒れているのは
あいつのはずなのに
なぜ俺が倒れている
「死にたくない」
そして、意識を失った
「貴様おやじになにをしたー」
怒りただそれだけの感情が自分の全てを支配した
見た目に傷一つない父親の体からは、生気が感じられず
死んでいることは、直感で理解できたが、悲しみなんてわいてこなかった。
黒マントの男の顔面に向かって右拳を放つが
するりとかわされ背後に周られる
すぐさま振り返るが喉元には男の鋭い指があった。
後ろにステップバックし体制を立て直す
このままでは、殺される。なんとかしなければ
だが策はない。警察を呼ぼうか?
だめだ警官がどうにかできるような奴ではない